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    ドイツの経済政策
 1.金融危機下の景気対策
  (2) 第2次景気対策 「危機において断固と、次の上昇に向けて強固に」
       
(2009年01月14日)
ドイツ政府は2009年1月14日、第2次景気対策パッケージを決定しました。総額500億ユーロに及ぶ数項目の対策から成り、連邦政府はこれによって国内景気の下支えと国の持続的強化のための重要な刺激を与えるものとしています。
金融面の対策のほかに、新車購入の際の2,500ユーロの奨励金が注目され、2009年春の時点では小型車を中心に販売が好調で、一部の車種では大幅な増産が行われていると伝えられています。

政府は第2次景気対策の発表際して次のように述べています。
経済危機下にあってはドイツの国民経済の実質(Sustanz)をいかに守るかが主たる課題である。特に中小を中心とする企業およびその従業員はドイツの豊かさと成長の鍵である。
エネルギー・環境保護、医療技術、交通技術、機械製造および新材料などの分野では将来の職場が生まれる。
そうしたチャンスを逃さないためには、企業に対して確実に融資が行われることが不可欠である。連邦政府は金融市場安定化法によってその点の基盤を確保した。われわれは当初に予定されたとおり、改めてこの法律の評価を行い、改善を行っていく。金融市場危機の結果、銀行の与信能力がなお不足する場合は、国は企業にとって必要な資金調達が確保できるよう、支援措置を講じていくものである。
その目標は、世界市場において優れた位置を占める健全で競争力のある企業が金融部門の拒否行為(Verwerfung)によって失われてしまうことがないようにすることである。
 第2次景気対策の具体的内容
個人世帯の負担軽減
 *所得税引き下げ
  2009年1月1日に遡及して最低税率を15%から14%に引き下げる。また、基礎控除額を2009年にいては7,834ユーロ、2010年については8,004ユーロに引き上げる。
 *健康保険料の引き下げ
  公的健康保険の保険料を2009年7月1日以降、従来の15.5%から14.9%に引き下げる。
 *特別子女手当
  子女手当(Kindergeld)の受給者に対して、子ども一人あたり100ユーロの一時金を支給する。
 *子女割増手当の増額
  Harz IV(生活保護)受給者の6~13歳児に対する割増率を70%に引き上げる。

融資・保証プログラム
金融市場安定化法などによって開始された経済界に対する信用供給確保の方策を新たな措置のほかKfW(復興金融公庫)の各種プログラムなど既存の手段の拡充により継続する。
中小企業に向けたKfW特別プログラムの条件を緩和し、目的に適うものであれば利用できるようにする。
これにより、たとえばプロジェクトや経営手段のための資金調達の条件が改善される。
 *中小企業に向けた2009年KfW特別プログラムの条件の適用を柔軟にし、目的に適うものであれば利
  用できるようにする。これにより、たとえばプロジェクトや経営手段のための資金調達の条件が改善され
  る。
 *2009年KfW特別プログラムと同様な、大型企業に対する融資プログラムを創設する。
 *企業に対する資本供給の確保を目的とする既存の国内債務保証(Buergschaft)制度の利用を促
  進し、かつ拡大する。
 *加えて、融資保険会社、リーシング会社およびファクタリング会社などの資金調達事情を改善するた
  め、企業外資金調達(Unternhmensfremtfinanzierung)を支援するための新たな債務保証システム
  を検討する。
中小企業についてKfWですでに実施されている150億ユーロの特別プログラムに加えて、これらの措置で1,000億ユーロの保証を行う。

連邦保証による(bundesgedeckte)輸出金融の拡大。
連邦政府は連邦保証の輸出金融の拡大の可能性を検討する。

イノベーションの促進(ZIM)(決定第5号
企業がいま研究・イノベーション活動に高水準の努力を続けていくことはグローバル競争の中で卓越した地位を失わないために、中期的にみて決定的に重要である。企業はそのために支援の強化を必要としている。
 *中小企業中核イノベーションプログラム(ZIM)の拡充。
  中小企業中核イノベーションプログラム(Das Zentrale Innovationsprogramm Mittelstand=ZIM))は従   業員数250人までの中小企業の研究開発計画を支援するプログラムである。ドイツ全体については共   同研究開発計画を対象とし、新連邦州については個別企業の研究開発も対象とする補助金制度で  ある。
経済危機の中で中小企業の間に増大した研究開発のための資金需要を満たすために、2009年および2010年については
 *西部ドイツの個別企業の研究開発計画
  および
 *東部、西部双方の従業員1,000人までの大型企業
  も補助の対象とする。
その際、東部ドイツの企業については補助比率を高くする。この措置のため、予算枠を年間4億5,000万ユーロ(うち、東部ドイツ企業分は1億ユーロ)増額する。
全ドイツへの対象の拡大はプログラム実施規則の修正後直ちに実施する。
本件の実施については特段の法的措置ないし各州の同意は必要としない。大型企業を対象とすることについてはEU委員会の審査が必要となるが、処理に滞りなければ2009年央までに終了するとみられる。

連邦政府のブロードバンド戦略
最新のネットワークは活力ある国の生命線である。したがって、電力網についてはひとつのドイツ企業(eine deutsche Gesellschaft fuer die Stromnetze)が望ましく、その実現は国民の関心事である。連邦政府はこれにむけて積極的役割を果たしていく。
将来のネットワークについてはドイツは大幅な投資が必要である。これは特に効率的なブロードバンドネットワーク、「すべての村に高速インターネット」について当てはまる。
連邦政府はドイツにおけるブロードバンドの拡充を大規模に推進し、地域ごとの間隙を早急に埋め、容量対応型で無線も活用した高能力通信網(leistungsgebundene und funkgestuetzte Hochleistungsnetzeの建設を進める。
具体的には
 *遅くとも2010年末までに、すべての地域に高性能ブロードバンドを設置する。
 *遅くとも2014年までに全世帯の75%、2018年までには全ての世帯が最低50メガビット/秒の回線に
  接続できるものとする。
連邦政府はこの目標達成のために2月半ばまでに広範なブロードバンド戦略を策定する。その際の重点は投資コストの引き下げ、助成面および投資・成長をねらった調整に置く。
広域をカバーするブロードバンド網を設置するための、資金面からの即効性のある促進策についてはブロードバンド戦略において決定する。

乗用車需要の拡大
大手自動車企業はそれぞれの下請けネットワークと相まって世界的に最大規模の技術・イノベーションクラスターを形成している。こうした構造は維持されるべきであり、同時に、燃料消費が少なく、環境にやさしい自動車への転換が加速されなければならない。
個人の自動車保有者は閣議決定の日以降、車令9年以上の車両であって、自分名義で最低1年間所有した車両を廃車し、Euro4以上の環境にやさしい新車ないし1年ものを購入した場合、環境奨励金(Umweltpraemie、廃車奨励金)を申請することができる。
環境奨励金の額は2,500ユーロとし、2009年12月31日までの車両登録を対象とする。
連邦政府は乗用車需要拡大のための景気・環境対策プログラムに総額15億ユーロを予定する。

注)環境奨励金の申請が相次ぎ、当初の予定枠に近づく中で、景気刺激効果が高いと判断したドイツ政府は2009年4月8日の閣議で、支給枠を当初の3倍以上の50億ユーロに拡大することを決定した。この結果、対象となる台数は計算上全体で200万台となる。申請期限は従来どおり2009年末。

自動車税に関する新制度
連邦政府は買い控えを緩和するため、第1段階として2008年11月5日の雇用確保のための対策パッケージにおいて、期限付きで自動車税の免除措置を導入した。第2段階においては、技術的に可能な限り速やかに、現行の自動車税制を排気量を基準とする制度に移行させる。
新制度への移行はできる限り2009年7月1日に行う。これによって、制度を明確にし、購入者が確かな計画を立てることができるようにする。
ポイント:
 *CO2排出量g/kmあたり2セントの直進制。
 *CO2排出量の基礎控除制:一定量のCO2排出量は非課税とする。(2010年および2011年:120g/
  km、2012年および2013年110g/km、2014年以降:95g/km)
 *最低課税額の設定
 *既存車両:2008年11月5日以前に登録された車両は移行期間を経て2013年から段階的にCO2ベ
  ースの課税に移行する。2013年以降の既存車両の課税規模については後日決定する。
CO2ベースの自動車税への移行と同時に、連邦が歳入権(Ertragskompetenz)を取得する。これに対して、各州は基本法で定められているとおり、代償として昨年の実際の税収額に等しい固定額を毎年受け取る。
連邦は今後5年間について年間1億7,000万ユーロの管理費を負担する。

モビリティの分野における応用研究の促進
2009年および2010年について、ハイブリッド駆動、燃料電池ないし蓄電(Speicher)技術を対象に補助金プログラムないしKfW融資を合計5億ユーロ増額する。
これらの助成プログラムについてはEU理事会で決定されたEIB(欧州投資銀行)プログラムとの調整が必要。

雇用の改善・労働者の資格向上
*時短労働制度の改善
 「従業員の3分の1以上が労働時間短縮の対象となった場合」との条件を緩和し、10%以上の賃金削減の証明があれば、1名から時短手当の申請が可能とする。
 派遣労働者、雇用期限付き労働者も一般と同様に時短手当の支給対象とする。
 連邦労働エージェンシーは雇用主が負担する時短労働者の社会保障費の半分を負担する。時短労働者が休業期間中に職業訓練を受ける場合は100%負担する。
 時短の申請手続きを簡素化する。
*失業保険
 2.8%の失業保険料を2010年まで維持する。失業保険料は従来の予定では2010年7月に3.0%に引き上げられることになっていた。保険を担当する連邦労働エージェンシーの保険料収入が不足する場合は連邦政府が補給する。
*派遣労働の改善
派遣労働に従事する労働者を再雇用する派遣会社に対して、当該労働者の再教育のための補助金を交付する。また、派遣労働者に対する最低賃金の導入を検討する。
*労働エージェンシーの強化
  各地の労働エージェンシーの斡旋要員を5,000人増員する。

インフラ投資等
*将来に向けた持続的投資
 連邦はインフラに40億ユーロの追加投資を行う。さらに、市町村投資プログラムの枠内で100億ユーロを市町村に交付する。
*教育のための未来投資
 幼稚園、学校および大学の校舎、設備を改善し、研究活動を促進する。
*インフラのための未来投資
 都市開発、騒音防止、病院その他の公共建築物への投資、道路、鉄道、水路への投資を拡大する。
*気候保護のための未来投資
 教育およびインフラへの投資は気候保護、エネルギー効率の向上を念頭において行う。
*投資の促進
 市町村に交付されている予算の早期執行を図るため、契約関係規則を簡素化する。

以上

出所:連邦政府資料
   
    
   -- ドレスデン情報ファイル 2009.03.04 --
(更新:2009.03.18-2009.03.29-200.04.04-2009.04.08)