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    ドイツの原子力政策
   1.概況
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ドイツでは2000年6月、当時の社会民主党/緑の党連立政権がエネルギー供給企業との間で、稼働開始後30年あまりをメドに脱原子力発電を達成することで合意していました。(2000年原子力合意

2009年秋に政権についたキリスト教民主・社会同盟/自由民主党政権は金融・経済危機後の経済・財政再建策の中で、2010年9月、原子力発電所の稼働期間を平均で12年間延長するとともに、原子力燃料に対して年間約23億ユーロ相当の課税を行うことを決定しました。

しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発の事故はドイツ国内にも大きな衝撃を与え、メルケル首相は当初の計画で稼働停止時期にきていた古い原発7基の即時3カ月間停止と全原発の徹底的安全検査を命じました。

ドイツ政府はその間に、産業、労働組合、学界、教会などの代表者で構成される「安全なエネルギー供給」倫理委員会を設置、原子力発電の扱いを根本から検討し直すことにしました。

この結果、ドイツは先に決定していた原発の稼働期間延長を撤回し、古い原発7基および故障中の1基を直ちに停止し、それ以外は2022年までに順次停止していくことを決定しました。それとともに、再生可能エネルギーを早急に拡充し、省エネルギー・エネルギー節約を強力に推進していくことを確認しました。

ドイツのこうした大きな方向転換については、スイスのターゲスアンツァイガー紙による「ドイツの強力な産業が原子力抜きの将来に向けて新たな技術を真剣に模索すれば大陸全体を引き込む大きな渦が巻き起こるるであろう」といった見方もあります。

脱原子力のためには、電力供給の安定をいかに確保するか、温暖化カス排出削減などをどのようにして達成していくのかといった難題のほか、再生可能エネルギーの推進に必要な送電線網の大幅な拡充、適正な価格の維持など多くの課題があるようです。

しかし、ドイツではこれまでにも国内産業にとって過酷ともいえる自由貿易、厳しい環境規制や省エネの推進が競争力を持った技術の開発につながってきた面もあり、そうした意味でもエネルギー・原子力政策が注目されるところです。                       (2011年04月01日、更新:2003.03.12)
    2. 原子力の扱いをめぐる動き (1)
 原子力発電をめぐる動き(2)へ
2000年6月14日
ドイツ連邦政府(社会民主党/緑の党連立政権)とエネルギー供給企業との間で「原子力合意(Atomkonsens)」締結。この協定はその後2002年の原子力法改正で法的な裏付けを得る。

2010年09月05日
ドイツ連邦政府(キリスト教民中・社会同盟/自由民主党連立政権)とエネルギー供給企業大手4社との間で原子力発電所の稼働期間を8年ないし14年、平均で12年延長することで合意。これに基づき、2010年12月14日、改正原子力法が発効。

2011年03月11日(金)
東日本大震災。東京電力福島第一原子力発電所に被害。

2011年03月14日(火)
連邦政府、全原発について安全調査の実施と、予防措置として、稼働開始が1980年末以前の古い原発7基の3カ月間停止を命じる(モラトリアム)。(原子力法第19条、第3項=「生命、健康、財産に対する危険が存在する場合」による。)
対象となるのはBrunsbuettel、Unterweser、Biblis AおよびB、Isar 1、Philippsburug 1およびNeckaarswestheim 1で、6月中旬まで運転が停止される。このほかKruemmel 1は以前から停止しており、そのままとする。

2011年03月25日(金)
*ドイツの最も高感度の観測施設4カ所で日本の原発事故で拡散した空気1㎥あたり5,000分の1ベクレルの放射性ヨードの痕跡(Spuren)をはじめて感知。自然の状態で1年間に受ける放射能の100万分の1以下で、放射線防護委員会(Strahlenshutzkommission=SSK)は人体への影響なしと判断。

*EUが日本の放射能汚染地域から輸入される食品に対して規制措置を導入。

2011年03月27日(日)
戦後ほぼ一貫してキリスト教民主同盟が政権を維持してきたバーデン・ヴュルテンベルク州議会選挙で脱原子力を主導する緑の党が第2党となり、僅差で第3党となった社会民主党と合わせて議席の過半数を獲得、州首相の座を獲得することが確実となる。
同日行われたラインラント・プァルツ州議会選挙では社会民主党への支持が低下する一方、緑の党が前回選挙の3倍にあたる15.4%を獲得、両党で連立政権を形成する見通しとなる。
これらの選挙の結果について、メルケル首相、ブリューダーレ経済大臣などが福島原発事故の影響が大きかったと発言。

2011年03月30日(水)
メルケル首相、菅首相に電話。同情の意を示すととともに、原発の現場整理、修理のための無線操縦の特殊機械をの提供を申し出。日本側は検討すると回答。

2011年03月31日(木)
Hamburg、Bremerhavenなどで日本からの船舶および積み荷に対する検査を強化。(航空機は危険ではないとの判断。)

2011年04月01日(金)
RWE、Kassel行政裁判所に対し、原発は安全基準を満たしており、暫定停止措置は無効と提訴。目的は株主の利益の保護。(稼働1日当たりの損失は100万ユーロとされる。)

原子炉安全委員会(Reaktorensicherheitskommission)は負荷試験(Stresstest)に航空機の墜落、テロ攻撃、地震、洪水などを含める意向。航空機については4月初めから6週間程度であらゆる機種を想定して検査する=少なくとも古い原発の最終停止につながる可能性大。

2011年04月04日(月)
ドイツ連邦政府、倫理委員会「安全なエネルギー供給」(Ethikkommission “Sichere Energieversorgung”)設置。討議開始。
委員長
 元連邦環境大臣 Klaus Töpfer
  ドイツ研究協会会長 Matthias Kleiner
委員
 元ミュンヘン大学教授 Dr. Ulrich Beck
 元連邦教育大臣、元ハンブルク第一市長 Klaus von Dohnanyi
 バーデン地区教会 地区司教 Dr. Ulrich Fischer
 ドイツカトリック教徒中央委員会会長 Alois Glück
 ドイツ自然科学者アカデミーLeoploldina理事長、ドイツ科学アカデミー理事長 Prof. Dr.  
  Dr. h.c. mult. Jörg Hacker
 BASF取締役社長 Dr. Jürgen Hambrecht
 元連邦研究技術大臣、元連邦交通大臣、元持続的発展審議会会長 Dr. Volker Hauff
 ドイツUNESCO委員会委員長 Dr. Walter Hirche
 acatech(ドイツ技術科学アカデミー)理事長 Prof. Dr. Dr. h.c. Reinhard F. J. Hüttl
 レーゲンスブルク大学実践哲学教授 Dr. Weyma Lübbe
 ミュンヘン大司教 Dr. Reinhard Kardinal Marx
 コペンハーゲン・ビジネス・スクール教授 Dr. Lucia A. Reisch
 シュトゥットガルト大学技術・環境社会学部長・教授 Dr. Ortwin Renn
 ベルリン自由大学環境研究センター所長・教授 Dr. Miranda Schreurs
 鉱山・化学・エネルギー産業労働組合委員長 Michael Vassiliadis
役割:
社会全体が今後数10年の基本方針として受け入れる国家エネルギー戦略の取りまとめ。
2011年5月末までに原子力利用のリスクを根本から見直し、方向付けをする。また、社会的なリスク評価を行う。
(具体的なリスクの確認は原発の調査に基づいて原子炉安全委員会が行い、同委員会は5月中旬に報告する予定。)
倫理委員会では、確認されたリスクにドイツが今後どう対処していくかについて検討する。
連邦政府は原子炉安全委員会の報告および倫理委員会の見解を政策に反映させる。すなわち、どの原発をいくつ閉鎖するか決定することになる。

2011年04月07日(木)
連邦政府の「グローバル環境変化」学術諮問委員会がレトゲン環境大臣およびシャファン研究大臣に「中期的には原子力、石炭および石油なしでエネルギー供給が可能」との報告書を提出。その際、シェルンフーバー委員長は脱原子力は確実に2020年までに達成することが可能、電力は40%の節約が可能と指摘。

2011年04月08日(金)
ドイツ・エネルギー・水道事業連盟(BDEW)が「供給確保、環境保護、負担可能な価格を維持しつつ2020年までに、遅くとも2002年の離脱決議の定め(2022/23年)に沿って、原子力の利用から早急かつ完全に離脱することを支持する」との声明を発表。同連盟のWoste会長は同時に、「再生可能エネルギーへの移行にあたっては従来エネルギーの一層の効率的利用とともに、特に天然ガスおよび石炭、コージェネレーションないし地域暖房の役割がなお長期間にわたって不可欠である」旨強調した。さらに、今後の発電体制の再構築や投資計画のためにも政府がこうした点を踏まえて積極的に取り組み、国としてのコンセンサスを早急に形成するよう求めた。
*BDEWは2007年に電気事業連盟(VDEW)、ドイツガス・水道事業連盟(BGW)など4つの業界団体が   合併して組織された。原発事業4社を含むドイツの電力、送・配電、水道事業関連企業・機関等  1,800社が加盟する上部団体。

20110415日(金)
メルケル首相、各州首相とエネルギー政策について協議、連邦、州ともにできるだけ早く原子力から離脱し、再生可能エネルギーに転換する意思を確認。モラトリアムで停止中の原発の再稼働はないこと、他の原発についても少なくとも当初の停止予定を維持し、延長しない方針などについて議論された。
モラトリアムの終了以前にその後の政策について州の協力を得ながら法的に明確な取り決めを早急に行っていくための合意形成、確認に主眼、6月半ばまでに新制度の国会通過を期すこととした。(下の「今後の予定」参照。
今後検討が必要な分野として、送電網の整備、再生可能エネルギーの促進方法・蓄電能力の向上、エネルギー効率の向上の3点を挙げ、それぞれ連邦と州の担当大臣で協議していくことなどを決定。

2011年04月28日(木)
「安全なエネルギー供給」倫理委員会を開催。供給、消費など各分野を代表する専門家28名を招いて意見聴取を行った。それぞれ立場によって脱原子力をいかに早期に達成できるか、それによって価格、気候保護にどのような影響が生じるかなどの点で見解が大きく分かれた。連邦政府は次の3点について議論が一致したとしている。
・供給の確実性が基本的に保証されること
・今後とも負担可能な価格を維持すること
・気候保護を無視してはならないこと
その他、電力およびエネルギーの価格が上昇することで見方が一致。ドイツ最大のエネルギー企業E.on.のタイゼン社長が「脱原子力のためには石炭・天然ガス火力発電ないしは輸入の拡大が必要になり、気候保護およびCO2排出削減に関する国際的な約束を果たすことができなくなる」として、性急なエネルギー転換を図るべきではないと主張。電力価格は10%程度上昇するとの見方を示した。
今回の倫理委員会はテレビおよび政府のウエブサイトで公開、政府は広範にわたる課題について国民にさまざまな見解や議論を紹介する意義を強調。
倫理委員会では専門家の意見を参考に5月中旬まで議論し、5月28日に最終報告書を提出の予定。

2011年5月1日(日)
2020年までに住宅その他の新築建物の暖房エネルギーの14%以上を再生可能エネルギーとすることを定めた再生可能エネルギー暖房法(Erneuerbare-Energie-Wärmegesetz=EEWärmeG, 2009)の改正法が発効。公共建築物で模範を示すのがねらいで、改正によって公共建築物の大幅改築(ドイツが海外に保有する公共建築物の新築・大幅改築を含む)、一部冷房も対象になる。

2011年05月06日(金)
CDUが、連邦議会における脱原子力、再生エネルギーへの乗り換え関連法案の審議時間を十分にとるため、連邦参議院での最終審議をこれまで予定していた6月17日から7月8日に繰り延べる方針を決定。
その間に実施中のモラトリアムが期限切れとなるが、電力業界には停止中の原子力発電所の再稼働をしないよう求める。

2011年05月09日(月)
メルケル首相と各党党首との会談で連邦参議院における脱原子力、再生エネルギーへの乗り換え関連法案の審議を7月8日に繰り延べることで合意。

2011年05月11日(水)
一部のメディアが倫理委員会報告書案の概要を報道。主な点は次のとおり。
(1)遅くとも10年後の2021年までに脱原子力が可能。
(2)現在停止中の7基およびKruemmel発電所の再稼働はしない。
(3)脱原子力は電力価格の動向、電力の供給状態、システムの安定性、炭酸ガスの排出および輸入の動向を定期的に点検しながらできるだけ迅速に進める
(4)国会が任命する「エネルギー転換特命委員」を置き、連邦政府のエネルギー対策の監視および監督を行う。
(5)あらゆる利害関係者が参加し、エネルギー政策に関する議論の端緒を拓いていく国民フォーラムを設置する。
(4)および(5)は、エネルギー供給について国民の理解を得るためには政府、議会における決定の透明性を維持し、社会の各層が決定に参加できることが前提となるとの判断による。
(6)脱原子力の最終的な日程の確定は放射性廃棄物の最終保管場所の決定のためにも重要。最終保管については放射性廃棄物を後日回収できるようにすることで選択の余地を広げる。
(7)二酸化炭素の排出量を2020年までに40%、2050年までに80%削減するという目標は原子力からの離脱によっても影響を受けないものとする。
(8)エネルギー効率の高い家庭用機器の普及と建築物の断熱効果の向上を一層促進し、省エネルギー化を加速する。
(9)現在計画中ないしは建設中の新型の石炭火力発電所を完成させ、環境への負担の大きい古いタイプの火力発電所と速やかに入れ替えること。

2011年05月17日(火)
原子炉安全委員会が原発17基の調査結果を政府に報告。福島原発事故を背景に全原発の耐久性についてこれまで想定されなかった厳しい基準で改めて調査したもので、報告書は倫理委員会に提示され、検討の材料となるほか、政府が各原発の停止時期を決定する際の根拠として利用される。委員会はドイツの原子力発電所の耐久性は相対的に高く、安全上の理由で即時停止する必要性はないいとしている。ただ、報告書では航空機の墜落に対して十分に耐えられる原発はないと指摘。古い原発7基の中には小型の航空機の墜落にも耐えられないものがあるとしている。各原発の閉鎖時期に関する勧告は行われなかったが、報告書を紹介したレトゲン環境大臣は小型機の墜落にも耐えられない原発については閉鎖の可能性を示唆。
調査は地震や洪水などの自然災害に対する安全性、冷却や電源などのシステム障害に対する安全性、航空機事故・サイバー攻撃・テロに対する安全性などについてそれぞれ3段階評価で行われた。原子炉安全委員会が委託した専門家約100人が調査にあたったが、調査は主として事業者から提出される資料に基づいて行われたと伝えられる。
原子炉安全委員会は連邦環境大臣の諮問機関。

2011年05月20日(金)
CSU(バイエルン州)が7時間半に及んだ役員会で2022年までに脱原子力を実現する方針を大多数の賛成で決定。バイエルン州首相でもあるゼーホーファー党首は役員会にあたって「バイエルン州が全ドイツの政策を主導いく」と語り、同州ゼーダー環境大臣は「この決定が全世界に刺激となるであろう」と決定の意義を強調。
バイエルン州では現在電力の60%を原子力に依存しているが、CSUは2020年までに可能なかぎり50%以上を再生可能エネルギーとし、残りを最新鋭のガス発電とする方針。
*バイエルン州でCSUと連立を組むFDPは産業競争力への影響が大きいとして、2020年代半ば以降の脱原発を主張。

2011年05月28日(金)
倫理委員会が政府に対して10年以内の脱原発を勧告。

2011年05月30日(月)
倫理委員会が政府に最終報告書を正式に提出。
政府連立委員会が遅くとも2022年までにドイツの原子力発電所を停止することで合意。
これに関連して伝えられるのは次のとおり。(1)停止中の最も古い原発7基およびクリュメル発電所は再稼働せず、即時停止させる(2)原発の大部分は2021年までに停止させる(3)最も新しい3基は安全のためのバッファーとして使用できるが、2022年までに停止できる。(この結果、各原発の稼働期間は発電量に応じて平均で32年となり、社民党・緑の党連立政権の脱原発計画とほぼ同じになる。)(4)停止中の原発のうち1基は電力不足に備えて2013年までスタンドバイさせる。(5)予定されていた年間23億ユーロの燃料エレメント税については廃止せず、徴収する。(ただし、停止中の8基については徴収せず、税収は約13億ユーロとなる見込み。)(6)原子力以外の新たな発電所、揚水発電設備および送電網の新設などについて法整備を行う。
*こうした状況を受けて、ドイツ国内では改めて脱原発・エネルギー転換に伴う膨大なコストや安定した電力供給を確保できるかなどの点をめぐって議論が高まっている。

2011年06月03日(金)
16州首相がメルケル首相と協議。稼働中の原子力発電所の停止について、10年後にまとめて行うのではなく、段階的に実施することを求め、連邦政府がこれを受け入れ。実施の時期について、メルケル首相は「2015年、2017年、2019年、2021年、2022年となる」と発表。
使用済み燃料の最終保管施設について、ゴアレーベンの他にも可能性を検討することで合意。

2011年06月06日(月)
連邦政府、代替可能エネルギーの拡充、脱原子力、送電線網の拡充、省エネルギーなどに関連する法案8本のほか、エネルギー政策の基本事項(エネルギーコンセプト)、再生可能エネルギー促進法(EEG)の実績報告書を閣議決定。(「新・エネルギー政策」へ)

2011年06月09日(木)
連邦議会でエネルギー関連法案の審議開始。

2012年12月06日(木)
連邦政府が旧岩塩鉱Asse IIに設置され放射性廃棄物最終貯蔵施設からの放射性廃棄物の搬出と同貯蔵施設の廃止を加速するための法案(原子力法§57bの改正)を閣議決定。
[背景]
Asse IIはニーダーザクセン州東南部、Remingenの近くにあり、1909年から1965年までカリ塩および岩塩が採掘されていた。1965年に放射線防御協会(現Helmholz Zentrum Muenchen)が当時の研究技術省の委託を受けて購入。当初の目的は放射性廃棄物の最終貯蔵であった。1967年から78年までの期間に低・中レベル放射性廃棄物のドラム缶等12万5,787本が貯蔵された。廃棄物は坑内の地下725~750mおよび511mに設けられた13の貯蔵庫保管されている。発生する放射能全体の80.5%は深さ725~750mにある低レベル廃棄物によるもので、19.5%は深さ511mの中レベルの放射性廃棄物による。放射能は2010年初め時点で約290万ギガ・ベクレルであった。
坑内は崩れやすい塩で不完全に埋められているだけの多数の空間が密接していて、崩壊しやすい状態にある。加えて周辺の隙間から塩分を含んだ地下水が1日1万2,000リットル流入している。旧カリ工場の水分の多い廃棄物が貯蔵されている所からは湿気が廃棄物に届くようになっている。
このため、今後の対策として、廃棄物を搬出する、坑内のさらに深いところに新たな貯蔵庫を設けて保管する、坑内の空間をコンクリートで完全に埋めてしまう、という3つの方法が検討されてきたが、原状で考えられる最善の方法は廃棄物を搬出して、別の貯蔵施設に移すこととされた。


「原子力発電の現状」はこちら

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ドイツの新・エネルギー政策」へ

   -- ドレスデン情報ファイル 2011.04.09 -
更新:2011.06.09、2012.12.13、2013.03.12