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   ピルニッツ宮殿庭園の椿 (Kamelie auf dem Schloßgarten Pillnitz)
ピルニッツ宮殿の広い庭園の奥に大きな椿の木がある。春が過ぎて花が終わると、周辺の巨木の間であまり目立たない。冬の間は大きな温室の中におさまり、2月頃になると2万個といわれる花を咲かせ始めます。

今年、2004年の5月20日、Christi Himmelfahrt(キリスト昇天祭)の日の午後、木を寒さから守っていたガラスの覆いが除けられ、椿の木は戸外に出ました。冬の間は温室に守られ、見方によっては過保護といわれる椿ですが、若い女性たちが奏でるフルートの音楽をバックに、ガラスの家がゆっくりと後ろにさがると、高さ9.5メートルの椿の木は春の陽光を浴びて、外気を思う存分吸い込んでいるようでした。
「世の中にこんなに祝福された木がほかにあるのだろうか」というのがこの日の感想です。
戸外に出されるピルニッツ宮殿庭園の椿

<3分の1ほど開放された温室の前で音楽をバックに
椿の由来などが説明される>
テレビの取材

<おおぜいの観客とテレビの取材>
   
枝が傷つかないよう細心の注意

<後退する温室の骨組に枝が傷つけられないよう
慎重に進められる作業>
戸外に出た椿

<外に出て新鮮な空気を浴びる椿>
240年前に日本から伝わる

樹齢250年といわれるこの椿は、一般に伝えられるところでは、スウェーデンの植物学者トゥーンベリが1755年から1776年にかけて日本を訪れた際に持ち帰った4本の椿のうちの1本だといわれる。これらの苗は、最初は4本ともロンドンの王室キューガーデンに植えられたが、その後、1本をキューガーデンに残して、他の3本はそれぞれハノーバーのヘレンハウゼン庭園、ウイーンのシェーンブルンそしてドレスデン郊外のピルニッツに移されたということである。これが事実であれば、ピルニッツの椿はトゥーンベリが持ち帰った4本のなかで唯一現存するものということになる。
確かなこととしてわかっているのは、この椿が1801年にピルニッツ宮庭園内の現在の場所に植えられたということである。日本にはもっと古くて大きな木もあるそうであるが、ドレスデンでは冬が寒い分だけ手厚く守られてきた。寒気から保護するため、当初は藁(わら)や筵(むしろ)のようなものが使われたが、その後、木の板が用いられ、暖房つきの建物も作られるようになった。1905年の冬、その暖房が元で火事
になり、水をかけたところ、マイナス20℃の気温で氷に覆われてしまったが、それがかえって防寒の役目を果たし、次の年にも椿はちゃんと咲いたという逸話もある。

温度や湿度がコンピューターで制御されるガラス張りの温室ができたのは1992年。この温室は以前のように分解して取り外す必要がなく、レールの上を走行して、椿を覆ったり、脇へずれたりすることができる。
温室の高さは13.2m、重量54トン。椿は10月中旬から5月まで温室内にあり、室内の温度は4℃~6℃に保たれる。
開花期は2月から4月。

*この椿については、柄戸正さんがそのルーツを綿密にたどり、2012年出版の「安永の椿」という大変興味深い書物にまとめられている。

*かつてザクセンで盛んに行われた椿の栽培については「椿の植物園」の項参照。
ピルニッツの椿の花 

<大きな木に咲く一重の素朴な花>
ピルニッツ宮殿庭園の春 :

<庭園内の森の春>
   
   
   
  -- ドレスデン情報ファイル080523 --
 更新:2015.06.02