凡例(下から順に):緑色=バイオマス、水色=水力、藍色=洋上風力、青色=陸上風力、黄色:太陽光、灰色=原子力、褐炭、石炭、ガス等従来型発電(斜線は暫定値)、赤い曲線:消費量(点線は暫定値)、茶色の曲線=CO2排出量。 日時はPCに設定されている日時。
提供: Agora Energiewende
拡大たどる再生可能エネルギー
2020年はコロナ・パンデミックの影響で経済活動が停滞し、電力消費が大幅に減少するとともに、発電のエネルギー源別の構成も大きく変化した。2020年の総発電量は573.6TWhで、前年比5.9%の大幅な減少となった。
発電のエネルギー源別の構成では、石炭発電および褐炭発電が減少したのに対して、再生可能エネルギーよる発電が大幅に増加した。
この結果、再生可能エネルギーが総発電量に占める割合は44.4%となった。電力総消費量(総発電量-純輸出-揚水発電)に占める割合では46.2%に相当し、2020年の目標としてきた40%を大きく上回った。
再生可能エネルギーによる発電が増加したのは設備能力が拡大したことと、気象条件に恵まれたことが挙げられる。これに対して、褐炭、石炭など化石燃料はCO2排出権価格が上昇したために競争力が弱まった。排出権価格は2017年にトン当たり5ユーロ程度であったが、EUがCO2排出量削減目標を引き上げ、それに伴って販売量を削減したたことから、2020年末には32ユーロにまで上昇した。
2021年は経済情勢の改善に伴って発電量が増加した。増加は主に従来型の化石燃料でまかなわれた。
2022年末までには原子力発電が全廃され、石炭発電および褐炭発電も段階的に停止されることが決まっている。2021年初に新たな再生可能エネルギー法が発効し、陸上風力発電について人家からの距離規制を緩和し、太陽光発電についても増設補助枠の上限を撤廃するなどの再生可能エネルギー拡大が推進されるが、原子力や石炭の削減を十分にカバーできるか注目される。
(備考)エネルギー源別の発電量の算出方法について
このページではエネルギーバランス作業委員会(Arbeitsgemaeischaft Energi-bilanzen e.V=AGEB,)が定期的に発表する総発電量(Bruttostromerzeugung=グロスの発電量)のデータを基にしている。したがって、発電所自身が利用する電力や各種産業が自家発電し、自ら消費する電力も含まれる。揚水発電による電力(2020年:約6.2TWh)はその他に含まれるが、揚水には電力が使用されるので、その分は二重カウントになっている。揚水発電を無視すると、2020年の再生可能エネルギーが占める割合は約46%になる。
フラウンホーファーISE研究所では、発電所や鉱山業、製造業などにおいて自家発電および自家消費される電力を除いて、実際に公共電力網に供給されるネットの電力とそのエネルギー源別構成を算出して発表している。それによると、2020年のネットの発電量は488.7TWhで、AGEBの総発電量よりも約15%少なく、再生可能エネルギーの割合は50.1%になる。その場合、再生可能エネルギーによる発電は化石燃料(褐炭、石炭、天然ガスおよび原子力の合計を上回ることになる。
更新:2021.02.06、2022.02.28、2022.09.30