本文へスキップ


ドレスデン情報ファイル

ドイツの環境・エネルギー政策

エネルギー消費の内訳と推移


エネルギー消費削減目標

 
 ドイツは2010年に策定した「エネルギー・コンセプト」で一次エネルギーの消費量を2008年をベースに2020年までに20%削減し、最終的には2050年までに50%削減する目標を設定している。
 2019年の「エネルギー効率化戦略」ではこの目標を確認するとともに、建物、産業、交通などの需要部門ごとにエネルギー消費の削減策を描いている。

2020年~2021年の動向
 
 エネルギーバランス作業グループによると2020年のエネルギー消費量はコロナ禍による経済活動の停滞を背景に前年比で7%の大幅な減少となった。この減少は専ら化石燃料によるもので、再生可能エネルギーは前年比で増加となった。全体で、2008年以来の累積減少率は15.2%となった。
2021年は経済かやや回復したのを反映して一次エネルギー消費量は前年比2.6%の増加となった。増加したのは石炭。、褐炭、原子力および天然ガスで、石油は5%あまり減少し、再生可能エネルギーも僅かながら減少hした。
この結果、2021年の消費量は2019年を下まわり、2018年以来の減少傾向が維持されたといえる。


          一次エネルギー消費の推移
                    
単位:ペタジュール


データ出所:エネルギーバランス作業委員会(Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen e.V. "Energieberbrauch in Deutschland im Jahr 2021"ほか。


          一次エネルギー消費の内訳
                                                                           (単位:%)


データ出所:エネルギーバランス作業委員会(Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen e.V. "Energieberbrauch in Deutschland im Jahr 2021"ほか。

    
2022年上半期の動向
 
 2022年上半期のエネルギー消費量は前年上半期と比較して3.5%減少した。
 主な要因は年初に暖かい日が多かったことと、エネルギー課価格が大幅に上昇したことである。このため、暖房用、産業用ともに節約がかかった。
 エネルギー種別では天然ガスの消費が14.7の大幅な減少となった。暖冬とロシアからの供給不安も加わった価格高騰のほか、ガス発電の抑制などが要因であった。
 原子力は2021年末に3基が停止され、発電量が半減した。
 石炭および褐炭は天然ガスを代替する形で増加した。
 再生可能エネルギーはとくに2月に風力発電が好調で、太陽光発電も増加したが、半分を占めるバイオマス発電が天候などの要因もあって、やや減少した。

 

データ出所:エネルギーバランス作業委員会(Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen e.V. "Energieberbrauch in Deutschland - Daten für das 1. und 2. Quartal 2022"




データ出所:エネルギーバランス作業委員会(Arbeitsgemeinschaft Energiebilanzen e.V. "Energieberbrauch in Deutschland - Daten für das 1. und 2. Quartal 2022""


部門別の最終エネルギー消費

 一次エネルギー消費全体から「発電およびロス、非エネルギー利用、誤差」を差し引いたものが最終エネルギー消費となる。
 最終エネルギー消費は1990年の9,472ペタジュールから2020年には8,340ペタジュールに約12%減少した。
 部門別で消費量がとくに減少したのは鉄鋼、化学などの産業部門および事務所、サービス業など業務部門の消費で、最終エネルギー消費に占める割合も低下した。これに対して、交通部門の消費量はほぼ横ばい、家庭部門はやや増加し、最終エネルギー消費全体に占める割合が上昇した。

         部門別最終エネルギー消費の推移
                     (単位:ペタジュール、%)
 

データ出所:連邦経済・気候保護省 ”Zahlen und Fakten: Energiedaten" 2021.09.27


更新:2021.02.09、2022.02.11、2022.09.25